やさしい理系物理

数学ができる人の条件

盤石な基礎、テキトーさ、そして覚悟

「数学ができる人」の特徴を考えます。完全に持論です。

1 数学ができる人の条件

私の考えでは、数学ができる人は下記の3つの特徴を備えています。

  1. 盤石な基礎
  2. テキトーさ
  3. 覚悟

順に説明します。

盤石な基礎

まず何より大事なのは、基礎がきちんと叩き込まれていることです。

数学ができる人は、問題を見た瞬間に「使えそうな武器」が何本か浮かんでいます。

つまり、問題を見たときに、「これは微分して増減を見ればよさそうだ」「これは帰納法で殴った方が早い」といった道具の候補が、自然に浮かぶわけです。スタート地点がすでに違います。

基礎を身につけるとは、問題に対して最初から丸腰ではなく、脳内の道具箱が整理されていて、必要な道具をすぐ取り出せる状態にしておくということです。暗記するとかそういう次元ではないわけです。

テキトーさ

次に大事なのは、テキトーさです。

ここでいうテキトーさは、答案を書くときのテキトーさです。つまり、試験本番の限られた時間の中で、必要以上にきれいな答案を作ろうとしない力です。

たしかに美しい数学の答案には、まるで芸術作品を見ているような独特の魅惑があります。しかし例えば、大学受験の二次試験のような場面では、そんな悠長なことを言っていられません。

具体的には、1問にこだわりすぎて、細部まで完璧に気にしていたら、他の問題に目を通す時間が消えます。たとえば、ある解答の中で「$n=0$ の場合をきちんとチェックすべきではないか」と気づくことがあります。しかし、それで失う点数なんてたかが $1 \sim 2$ 点です。そんな細かいことを気にしている時間で、先に進んだ方が得点が伸びることもあります。

誤解なきよう。大事なのは、すべてを雑にすることではありません。たとえば、相加相乗平均

\begin{align} A + B \geq 2\sqrt{AB} \end{align}

を使うときに、 $A, B \geq 0$ を確認するのは必須です。また、数字を $0$ で割るのも禁忌です。しかし、このような注意は、基礎がきちんと身についているからこそ可能なのです。

この判断は、結局のところ基礎に支えられています。基礎がない人のテキトーさは、ただの雑さです。

覚悟

最後に大事なのは、方針が決まったら泥臭く押し切れる覚悟です。

数学では、方針が見えたあとに面倒な計算や場合分けが出てくることが多いです。そこで、「もっときれいな方法があるのではないか」「この計算は重すぎるのではないか」と不安になり、手を止めてしまうことがあります。

しかし、数学ができる人は、ある程度の根拠を持って方針を決めたら、多少泥臭くても最後まで進めます。これは単なる根性論ではありません。式変形を進めれば目的の形が出そうだ、場合分けすれば有限個に落ちる、計算は長いが破綻はしていない、といった判断ができているから押し切れるのです。

きれいな解法を探すことは大切です。しかし、きれいな解法を探し続けるだけでは問題は解けません。ときには、「面倒だけど、これは進めれば終わる」と腹をくくる必要があります。数学には、最後に長靴でぬかるみを歩き切るような時間があります。そこで引き返してばかりいると、いつまでも対岸に着きません。

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